加藤巧選手

【ファインダー越しのスナイパー】

長友選手とタイトルを争った相手で、ベルトへの挑戦もされた選手です。
もう引退された感じにはなってしまいましたが、いつかまたリングに上がる日が来ることを期待しています。

加藤選手との出会いはキックではなく、カメラでした。
自分は毎回、イベント会場では試合の記録映像を撮影しているので、試合以外の選手の自然な風景を撮ることができませんでした。人伝に会場内を撮ったり、選手に声をかけてカメラを回してもらっていたところ、なんとも違和感のないフレームさばきをする映像が手元に来ていたので「誰が撮ったんですか?」もうその瞬間には会場カメラはこの人しかいない。そう思える方でした。

もともと選手の方ですから、選手と話すタイミングや距離感が自然とわかっているのでしょう。まったく違和感のない選手たちの表情を美しく捉えていた素材に、思わずうなってしまいました。それだけでなく、見る人に興味を持たせられるような撮り方を無意識にうちにやっていたので「初めてカメラを回した」と聞いたときは、驚きしかありませんでした。

自分も独特のカメラワークをすることもあり、その辺のセンスが非常に近く感じられたことも、プラスの効果がありました。自分としては加藤選手のカメラワークで、作品が一段も二段も昇華された場面が多々あったことを断言できます。また自作の制作の際には、撮影クルーとして声をかけたいと思える動きでした。

たまに毒の強いコメントをするのがご愛嬌ですが、加藤選手の地元でインタビュー撮影した際は、非常に熱のこもった、温度のある言葉をいただきました。出演者としても作品を盛り上げてくださったのは、その魂を記録に残せて、今後も振り返られる形にしてくださいました。

選手の一人ではありますが、他の方とはまた異なった角度から作品に力を与えてくださった、心強いパートナーです。

むぅちゃんぷる〜選手

【富士の裾野のキジムナー】

そのリングネームからもわかるように沖縄好きで、どこか飄々とした、それでいて独特の色彩を持った空気感。むぅちゃんぷる〜選手は、還暦もゆうに超えた64歳。昨今の出場選手の中では最年長かと思われます。

実はむぅちゃんぷる〜選手、若い頃には自主映画の制作に夢中になっていたという経歴の持ち主。ザラついた映像の中で、荒削りな光りを放っていた当時の記録を、ご自宅で拝見させていただきました。

あの頃の情熱そのままに、還暦越えのリングでも、老獪な光を放って試合に臨んでおられます。

僕がむぅちゃんぷる〜選手にカメラを向けていたときは、再びナイスミドルのリングに立つために、自身の体のメンテナンスをされていた後でした。陽気な奥様も共に撮影させていただきました。

むぅちゃんぷる〜選手も奥様も、底抜けに明るく前向きで、僕はその姿に励まされた部分もあり、自分の中に小さな灯が灯されたようにも感じました。

撮影は富士の裾野で行い、幸いにも天候に恵まれ、むぅちゃんぷる〜選手らしい影を感じさせない映像にすることができました。

息を切らせながらも、練習にも試合にも真摯に取り組む姿を見、そして年齢のことを考えると、「まだ続けたい!」というその気持ちはどこから湧いてくるのか?
むぅちゃんぷる〜選手の発する一言一言が、これまで経てきたときを刻むように、重くのしかかってきます。

撮影から時は経ちましたが、いまだに現役バリバリ。ケガをしながらも謙虚で柔和な態度で、出場する機会を常にうかがっています。

NICE MIDDLEから出現した「奇跡のひとり」として、語り継がれていくであろう選手です。

ちなみに奥様がリング上でパフォーマンスされたときのイメージは「ヤシの木」だそうです。映画をお楽しみに🤭

長友亮二選手

【強面の闘うラーメン屋】

中華そばながとも
美味いのでとにかく行ってみてください。
ボクは半チャンラーメンのセットを注文することが多いです。麻婆もオススメです。

そのチャーハンを作るときに浮き上がる右腕の血管。およそ還暦を超えた人の腕には見えません。いつお店に行っても鍛え上げられた肉体ととともに、強面が静かに囁く「いらっしゃいませ」

初来店だとどうしても後退りしてしまいそうですが、食べたらゾッコン。「これが美味いんだ!」そして出てきたものには誰も文句言いません。うまいから。

不器用ながらに勝っても負けても試合に挑んで行く姿勢。まるでかつてのアンディ・フグを彷彿とさせる真っ直ぐな目が、どうにもカメラを向けたくなる一因となっています。

誰よりもストイックなほどに究極を突き詰めています。そこからいろいろと発する物語を映画の中で描いています。「どうしてそうなる?」と突っ込みたくなるほどに不器用な生き方。無条件に応援したくなります。

階級もバンタム・フェザー・ライトと「どっかに焦点絞った方がいいんじゃないの?」とも素人ながらに思いますが、還暦を超えても、その目を見れば想いは極めて純粋。「3階級制覇やります」

映画の中でもほとんどノーガードで挑んでくださいました。ボクが惹かれるのはそんな駆け引きのない純粋さ。男気で溢れています。ノーリーズンで応援したい選手です!

深見裕選手

【バンタム級 第3代王者】

チャンピオンになるために、仕事と練習ばかりの日々を送り続け、ジム以外でも練習をして、タイトルマッチを渇望していました。そしてイッキョー選手に挑戦し、一度は敗れました。

体重が軽すぎて、体調が振るわないことも多かったようですが、川向選手との挑戦者決定戦を制し、2度目の挑戦でようやく戴冠。塩試合と言われつつも、負けなしのままタイトルを返上。フェザー級に階級を上げ、現在、二階級制覇を目指しています。

深見選手には、幾度となく撮影にご協力いただき、回を重ねるごとに慣れてきて、ラストのインタビューでは、かなりの自然体で印象的な話をしていただきました。

お酒が好きな選手ですから、酒の席で一緒になることも多く、酔うと別人の動きを始めます。いわゆる酔拳でしょうか?

ナイスミドル軽音楽部ではベースを担当。奇抜な楽器で演奏する姿も、試合のときのように、静かに微動だにしない感じで弾いています。

強さと優しさを兼ね備えたチャンピオン。奥さんと2人の娘さんに囲まれた、家族団欒のシーンは必見。まだ幼い娘さんの映像は、ご家族の中で貴重な記録として残されることでしょう。

川向寿和選手

【戦績120戦】2019年時点(17年間)

戦績が示しているように、とにかく試合をしていたということです。
もちろんNICE MIDDLEにもよく出場されていました。

「掟破りの海上自衛官」
いつも飄々として、独特な話し方なこともあり、撮影時にも人懐っこい感じでインタビューにも答えてくださいました。自衛隊の施設近くや、川向選手の地元の練習場で撮影を行いました。本当に自分の周りの親しい方と共に、技を積み上げているような、そんな感じを受けました。いつも声掛けをしてくださいますし、撮影時も丁寧にご対応いただきました。

普段から軽い感じで話されるので、その雰囲気がウソのようになることもありました。
突っ込んだ話になると思いもよらず、真剣な眼差して返してこられることがあり、ホントにNICE MIDDLEが好きなんだなあ、と思わされる、そういう回答が印象的でした。

タイトル戦線にもしょっちゅう絡んでいて、菅野一教選手とも4度の対戦(3度のタイトルマッチ)をしているということでした。久しくNICE MIDDLEではお見かけしていませんが、まだまだ若い。その情熱がほとばしるような、熱い試合をまた見せて欲しいです!

菅野一教選手

【バンタム級 第2代王者】

NICE MIDDLEのこけら落としから出場し続けている選手です。
先日、還暦を迎えたようですが、試合以外のイベントにも積極的に参加されている選手です。試合後の飲み会、合宿、カラオケなど、NICE MIDDLEの選手間で様々行事はありますが、ギターも得意とのことで、ナイスミドル軽音部のリーダーでもあります。みんなからは「イッキョーさん、イッキョーさん」と呼ばれています。

軽量級の選手ですから、とても小さくて軽いのですが、とにかく前に出て攻め続ける。物理的に頭が硬いようです。まあとにかくイッキョー選手に勝つには一筋縄ではいかないようです。小さな巨人と呼ばれる所以です。

映画の方でもかなりご協力いただいている選手です。
私が企画を立ち上げたころは、NICE MIDDLEのバックグラウンドも知らなければ、選手間の関係性もまったく把握していませんでしたから、やはりレジェンドであるイッキョー選手から、詳細なNICE MIDDLE事情を聞いてからが、映画の本格的な始まりでした。

都内のジム所属ということもあり、撮影には頻繁に伺ってPV制作にもご尽力いただきました。
以前、音響の勉強をされていたことから、ものづくりには関心があったということで、撮影時には楽しんで臨んでおられたようです。

映画の撮影時はイッキョー選手50代で、現役のチャンピオンでした。
そこから少しづつ年を経ていく過程で、素直に実感していたことを撮らせていただくことができ、観客の方々の心も震わせられるような、貴重な作品とすることができたと思います。

イッキョーさんとは私もかなりの回数、飲みに付き合っていただきました。財布をよく落とすとか、人間的な一面が多々あったり、インタビューで答えていただいた質問にも力があり、相談にも素で真面目に答えてくれるような、頼り甲斐のあるアニキです。

世代を超えられた!

先日、ナイスミドラーより下の世代を対象に少人数での試写を行いました。

おそらく異なる世代にも通じる内容に仕上げられていると思いましたので、彼らがどのような見方をするかは興味のあるところでした。結果的にはおよそ好評でありました。

自分の中では様々な思惑を持って制作にあたっていました。世代間の違いとは異なる部分で描けている証左にもなったように感じました。

競技の内容を追っているところもありますが、どちらかというと人々が普遍的に陥る悩みや挫折とか、生きていく上でどこへ向かうのが正しいのか。様々な例を見せてくれるのが、今後の参考になるのであろうと思います。

鑑賞後にも考えさせられる内容になっているんじゃないかと推測します。価値ある作品へと押し上げられているという確信があります。

ネガティブではなくポジティブ。

向かうべきはそこなんでしょう。

歩んできた道

今年も早いことで12月を迎えました。
1月には関係者試写を行い、それを受けての直しの編集を今年は主に進めていました。細かい部分での撮影も行っていましたが、仮編集もひと段落がついて、映画のアウトラインがほぼ出来上がっています。あともう少し残された作業があり、そこをクリアしてから完成作業へ入っていきます。今年は作品を完成させることを目標にしていましたが、限りなく目標に近い形まで持ってくることができました。

すべての撮影時間を計るのは難しいですが、少なくともデータは10Tを超えています。インタビュー時間もどれくらい重ねてきたことか、いつかまた調べてみようとは思います。インタビューを文字起こししたページ数も、とにかく多いです。みなさんのご協力なしにはできなかったことばかりです。

自分としては、ごく普通の人間ドキュメンタリーとして描いてきたつもりですが、意外とこれまでのドキュメンタリーの枠に収まらないものになったように思います。オリジナリティという意味では良いのかもしれませんが、その辺りがひょっとすると今後、困難を伴うようになってくるかもしれません。

さて今月1日はナイスミドルの年間表彰式・忘年会が開催されます。今年は誰が何の賞を受けるのか楽しみですね。