【有楽町の闘うメディアブランナー】
50代にして無敗でライト級への挑戦権を得るまでたどり着いた、頂点を極めるために鋭い眼光で目標を見つめてきたチャレンジャー。本気で狙いを定めている姿は、とても年相応には見えない。
そんな渡邉選手も、試合や練習から離れると、穏やかな眼差しと軽妙な話しで、和ませてくれます。スポーツマンらしく、明るくハキハキとしているのが印象的。分け隔てることなく、誰とでも人懐こく話す様子が、人が好きなんだろうなあと思わせてくれる。
とはいえ渡邉選手の撮影は、正直に言って、僕自身も覚悟が必要でした。
直訴しての2度目のタイトルマッチの後の渡邉選手は、それまでの彼とは違っていました。あのときすでに病に侵されていた彼は、悲壮なくらいの心境で、復帰のリングを目指していました。
「生きる」ことと対峙していた彼から撮影許諾をもらいました。おそらくそのときもまだ、心中穏やかではなかったと思いますが、いつもの彼らしい明るい感じで撮影に臨んでくれました。
「その心にどうやって触れることができるのだろう」
僕は覚悟も必要でしたが、困惑の気持ちが占めていたように思います。誤りの引き金を引いてしまわないか?そんな心配が撮影から足を遠のかせていたような気もしました。
実際に撮影のためにジムに訪れると、いつもと変わらない渡邉選手の姿があり、明るく話してくれる姿が目に映りました。思い悩んでいたのがウソだったかのように。と同時に、彼のふとした断片から、必要なはずの力が抜けた様子を感じました。
それはそのままカメラに収めさせてもらえたのも貴重な記録となりました。あのときの印象的な渡邉選手の話と所作。映画の中にしっかりと刻み込ませてもらいました。

